マットとスティーブンは、クイーンズランド州中部のスプリングシュアの西約50キロメートルにある農場で、緑豆、ひよこ豆、大麦、ホワイトソルガム(たかきび)、きびなど、さまざまな作物をキアラピュアフーズのために栽培しています。
農場で育ったマットは、ディーゼル機関の機械工になり、周辺の町で働きました。その間、父のスティーブンは、農場で働き続けました。
2015年、機械工の仕事に嫌気が差したマットは、自分と家族のために生活環境を変えようと決心。農場に戻ると、化学薬品を使うのをやめ、自身や家族の健康だけでなく、農地の健康維持にも役立つ農法を追究し始めました。
やがて、収量増や、自然に有害生物に強い作物が育つなど、栄養状態の良い土壌のありとあらゆる利点を理解するようになり、土地の回復に真っ先に取り組みました。
今では、牛ふん、自生の微生物など、農場内で調達されるものを基にしたバイオ肥料を活用。作物の品質向上や、有害生物の問題の軽減のほか、窒素、炭素、複合生体鉱物の土中濃度の改善といった、好ましい結果を得ています。
有機栽培農家の成功は、こうした科学的な面ばかりでなく、畑の観察や試行錯誤から得られる経験、さらには自然に逆らうのではなく、いかに自然と共生するかに懸かっています。
現在、3世代が農場で生活。マットの3人の子どもたちは、就学年齢になれば50キロもの遠距離通学をしなければなりませんが、有機農場の健康的なライフスタイルは、便利な都会での生活に勝るというのが家族の考えです。